魂のワークブック

何だろう?私と世界にプレゼントしたいもの♪

 
boku.jpg











 
 そこで、こんなときは署名だということになって、

  【絶滅寸前兵庫県ツキノワグマ捕獲禁止緊急要請】  

 という署名文を、理科教師たちで作りました。作ったのはいいのですが、大人ってだめですね。正しいことをしているとわかっていても、何か照れてしまって。私たちは、市内の理科教師に署名の依頼を送っただけです。しばらくして、市内のほとんどの理科教師70名から賛同の署名が返ってきました。

 ところが、生徒たちの会の方が、どんどん署名を集めてきます。私は不思議でたまらなくなって、あるとき生徒たちにたずねてみました。

 「君ら、どうやって署名集めてるの。毎日こんなにいっぱい」

 その答えをきいたとき、私は、声も出ませんでした。生徒たちが、こう言ったのです。

 「先生、ぼくらピンポン鳴らして町内を回ってんねん」

 「駅に立ってんねん」

 「わたしたちは、スーパーの前に毎日立っています」

 現代っ子が、自分に何の利益にもならないことのために、ここまで頑張っていたなんて。私は涙があふれそうになりました。生徒たちは、何の罪もないクマなどの野生動物たちを、人間のせいで絶滅させるのは、あまりにもかわいそうだと、必死になって署名を集めに集め続けました。

 私は最後には、本当にもうわけが分からなくなって、ある生徒にきいてみました。

 「君ら、何でそこまでするんや」

 一人の男の子が言いました。

 「先生、これクマだけの問題と違う。ぼくらの問題でもあるんや。先生、ぼくら寿命まであと何年生きなあかんと思う。あと70年ぐらい生きなあかんねん。今の自然破壊見てたら、僕ら寿命まで生き残られへんてはっきりわかるねん。ぼくら寿命まで生き残りたいねん」

 まさに中学生の叫びでした。

 もう一人の男の子は、寂しそうな顔をして、こう言いました。

 「先生、大人って、ほんまはぼくら子供に愛情なんかないんと違うかな。自然も資源もみんな、自分たちの代で使い果たして、ぼくらに何も置いとこうとしてくれへんな」 

 私は大人の一人として、この言葉が本当にこたえました。返す言葉が、見つかりませんでした。
 


 
             小冊子 「クマと もりと ひと 」より      つづく
コメントを投稿する
::この記事へのコメント::
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
Secret: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
::この記事へのトラックバック::