魂のワークブック

何だろう?私と世界にプレゼントしたいもの♪

 
boku.jpg



 その日、私が職員室で仕事をしていると、何人かの生徒達が思い詰めたような顔をして、私の机の方に向かってきました。一人の男の子が、

 「先生、『野生ツキノワグマを守る会』に、ぼくらを入れてください。ぼくら、あの新聞記事を読んで、胸が痛くて耐えられないのです」

 と言って胸を押さえ、本当に苦しそうでした。私は、現代っ子がこのことをそこまで苦しんでいたなんて想像もしていなかったので、本当にびっくりし、胸がいっぱいになりました。でも生徒を入れると、生徒を扇動したなどと批判されるだけだと思ったので、断りました。

 すると次に日、生徒たちは4?5人ずつのグループになって登場しました。

 「先生、本日、『野生動物に山を変えそうの会』を結成しました」

 「『ツキノワグマよみがえれの会』を結成しました」

 「『熊の会』を結成しました」

 などと、言います。このときすでに、私が教えていない生徒たちの顔も、交じっていました。『理科だより』が、校内をかけめぐっていたことを、後で知りました。こうして武庫東(むこしがし)中学校に、16のクマの保護団体ができたのです。

 生徒たちは、この問題は森の問題でもあると、初めからわかっていました。家から関係がありそうな本を続々と持ってきて理科室に集まり、むさぼるように読んで調べ始めました。読めば読むほど、「日本の森と動物が大変だ」と、もう危機感でいっぱいになっていきました。

 生徒たちの動きはとっても早く、テレホンカードを集めて、クマが残っている兵庫県北部の但馬(たじま)地方に、どんどんと電話をかけ始めました。町役場の係りの人に、

 「兵庫県のツキノワグマが全滅してしまいます。殺すのをやめてください」

 と頼みました。町役場の方は、

 「クマ守れ?!わしらとクマとどっちが大事なんや。許さんぞ」

 と、どなたもかんかんでした。

 当時、私たちは、なぜそんなに地元の方が怒られるのか、わけがわかりませんでした。猟友会に電話をしたりもしましたが、法的に認められていることをしているだけだと、反論されてしまいました。

 


 
             小冊子 「クマと もりと ひと 」より      つづく
コメントを投稿する
::この記事へのコメント::
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
Secret: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
::この記事へのトラックバック::